2008年10月13日月曜日

Star Wars: The Clone Wars (スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ 2008)

 ポケモン並みだった。

 これまでのシリーズとは違ったものになるだろう,とは思っていた。
 ただ,今回は若い監督だというので,そこにどれだけ独創性が込められているか,多少期待した。
 そしたら,テーマも何も無い,ただ,ただ戦争して,剣戟があるだけの,全くくだらない映画だった。
 何の哲学も思想もテーマも無い,ただのスターウォーズ・オタクが作った戦争映画だ。  
 どこかの高校生が文化祭で作った映画の方が,はるかに面白い。

 せめて,映画が始まるときの 『ジャーン!』 と “STAR WARS” のロゴが出る瞬間だけでも楽しみたかったのに,そこでもズッコケた。
 あのスター・ウォーズも,墜ちるところまで墜ちた。

 

 戦争というものがすごくエキサイティングで楽しい冒険物語として描かれていた。  
 ジェダイの人々はロボットの兵士をバッタバッタとなぎ倒してゆく。 やっていることは大量殺戮だ。 だけどこれは戦争だし,なんせ相手はロボッだから,そこには罪悪感など何もない。 正義のジェダイが邪悪なロボット軍団を倒している,という構図だ。
 ジェダイの光剣一閃でロボット兵士の首が飛ぶというシーンが何度あっただろう。 アミダラ姫がロボット兵士の顔面を至近距離で撃ち抜くシーンも あった。 ロボットはそれで動かなくなる。 いらだった悪役の登場人物が,報告にきたロボット兵士に八つ当たりして崖下に投げ落として観客の笑いをとる, というシーンもあった。
 つまり,人間性を持たない敵ならば,どんどん破壊してもかまわないし,それが正義なのだ。
 こういう考え方は,これまでの人類の歴史での幾多の異民族間の戦争と,本質的に何ら違いはない。 それどころか,今アメリカという国がやっていることなんて,まさにそれだ。 この映画は,そういう思想を批判するのでなく,むしろ賛美している。

 レーティングはPGだったけど,こういう程度の低い映画こそ子供に見せてはいけない映画なんじゃなかろうか。

 この映画を製作した人たちは,本来のスターウォーズという映画に込められたテーマをおそらく全く理解していない。 フォースの暗黒面というものは,人間の欲望や貪欲さ,あるいは怒りや恐怖などに囚われ支配された心を象徴している。 そういう心のはたらきは時として莫大な富を生むし,強大な力を発揮したりもする。 だけど,それよりもはるかに強くて素晴らしいのは,囚われぬ意思をもった人間の自由な心なのだ,というような意味が初期の作品には込められていた。
 だけど,この作品も含め,エピソードⅠ以降のスターウォーズ作品では,それらは安っぽい善と悪とにすり替えられ,ただのくだらない剣戟カンフー戦争映画でしかなくなった。 いや,こんなこと言ったら剣戟カンフー映画に対して失礼だ。 それ以下だろう。 戦前の 『のらくろ』 と大差ない。

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