2008年10月14日火曜日

ペイリン氏の勘違い

 ずっと以前にヒラリーさんと比較してサラ・ペイリン氏のことを書いたことがあった。 目前の現実を直視せずに,自己の先入観や憶測というフィルターを通してものを観る典型だろう,というようなことを書いた。
 バージニア州での演説で,遠くで応援してくれているファンを自分を批判している集団だと思い込んで,何やら捨てゼリフを吐いたらしい。

 Palin mistakes fans for protesters at Va. rally  

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サラ・ペイリンと,ヒラリー・クリントン

 - 2008/09/05(Fri) -

 マケイン氏が指名した副大統領候補のペイリン氏が全米で注目されている。
 とても美しい女性なので,私も注目してみた。
 “満塁ホームラン” と賞されたスピーチも聞いたりした。

 だけど,私は,あんまりこの人は好きではないらしい。
 スピーチはすごく上手だし,おしゃべりも得意なのだろうと思う。
 だけど,とにかく私はあんまりこの人は好きではないようだ。

 Palin slams Obama

 外国で暮らしていると,人を見る特殊な目がとくに養われるように思う。
 人を見る目といっても,別にその人の能力だとか,知性や性格とかを見極める目というのでなく,単に  『この人となら,話が出来る』  『この人は,私の話なんかには耳を貸してはくれないだろう』 という直感みたいなものだ。
 ただの相性といえばそれまでだし,べつに日本にいたって養われるものなのだが。
 私の場合とくに 『外国人や異文化に対して,どういう反応をしめす人なのか?』 ということに関して,かなり敏感になったと思う。 顔を見た瞬間,会った瞬間にそれがわかるような気がしてしまう。 ただ,顔写真だけではわからない。

 相性というのは性格とか体質の相性ばかりでなく,知性の相性のようなものがある。
 話を聴いているだけで気分良くなってくる人もいれば,話している顔や呼吸,表情を見ているだけでムカムカしてくるような人もいる。
 ペイリン氏のスピーチを聴いていると,私はなんだかムカムカしてくる
 何故ムカムカしてくるのだか,うまく言葉に出来ないのだけど,彼女の言葉のほとんどが,Frankfurt 氏が述べるところの典型的な Bullshit だからだと思う。
 仮に立食パーティーなんかで同席する機会があったとしても,この人にはあんまり近寄りたくないな,という気がしてくる。 向こうも私など相手にしてはくれないだろうけど。

 ちなみに元ニューヨーク市長のルディー・ジュリアーニ氏も,私は大嫌いだ。 とくに理由はない。 テロがあった頃から何故だかあの人は嫌いだった。 あの独特な笑顔をみていると,なぜか背筋が寒くなる。

 女性ということで,すっかりクリントン氏からペイリン氏へと視線が映った感じだが,私はヒラリーさんがすごく好きだった。
  ヒラリーさんなら,私の話でも聴いてくれそうな気がするし,もしパーティーで同席する機会があったら,躊躇せずに近寄って行きたくなるような人だ。 この 人なら話がわかる,私の話にも耳を傾けてくれる,というような気がしてしまうのだ。 ただそれだけのことなのだが,今でもヒラリーさんが舞台から降りざる を得なかったことは残念に思っている。 

 マケイン氏が大統領,ペイリン氏が副大統領になったら,なんだかイヤだなあ,と本気で思ってしまう。 米国市民でもないのだから,こんなことを気に病んでもしょうがないのだが。
 ああ,いやだ,いやだ。

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 憶測で人のことを判断することは,誰だってよくあることだろう。 それはしょうがない。
 だけど,そうやって人の気持ちを憶測して自分勝 手に解釈した挙句に,その勝手な解釈を自分の去就のいい訳や名分にして,突然一方的に何か言ってくる人が時々いる。 おそらく他人に対する自分の洞察力と いうものを相当信頼しているのだろうけれど,大概は見当違いだということに自分で気づいていないか,あるいはそれに気づくチャンスすら自分に与えることな く,逃げるように去ってゆく。
 そういう人も他人に対して直視せずに自分の中で作り上げたイメージに向かって会話することでコミュニケーションをとった気でいるのだろう。 それで自分が成熟したオトナだと思い込んだりしている。

 自分の好きにすればいいのだけど,そういう人に限って必ず捨てゼリフを吐いて,毒を残して去ってゆく。 はなはだ不快だ。

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