2008年8月3日日曜日

新幹線車内でのおむつ換え

 東京から新潟に向かう新幹線に乗ったときのこと。
 平日の昼間だったせいかガラガラで,指定席も簡単にとれた。

 乗車したとき既に娘のおむつがオシッコでパンパンだったので,私は娘をつれて隣の車両に多目的室へ向かった。 左手に新品のおむつ一枚とワイプ数枚,右腕に娘を抱いて。

 およそ一畳半くらいの多目的室には,おむつ換え用のベッドと,授乳用の固定イスがあり,設備としては申し分なかった。 ただ,なぜかエアコンが来てなくて,すごく蒸し暑かった。
 おむつ換えなんて一瞬で済むからいいけど,この暑い中で授乳するのはさぞや大変だろうな,と思ったりした。


 おむつを換え,スッキリご機嫌の娘を抱いて意気揚々と通路に出たところで,乗務員に呼び止められた。

乗務員 「ちょっと,お客さん! ちょっと!」

やた 「はい?」

乗務員 「これはね,女性専用の設備なので,男の人が使うのはちょっと遠慮してもらいたいんですよね」

やた 「え? なんでですか?」

乗務員 「あのね,ここはお母さんが赤ちゃんに授乳したり,おむつを換えたりする場所ですんでね。
   お母さん方に快適に乗車していただきたいための設備でして,男の人はなるべく使わないでいただきたいんですよ」

やた 「これ個室なんだから,母ちゃんだろうが父ちゃんだろうが,どっちが使ったっていいじゃないですか?
   それとも育児する父ちゃんは,わざわざ小便臭い便所の方でおむつ換えしろ,ってことですか?」

乗務員 「本当に,おむつを換えられてたんですか?」


 乗務員は私が育児カバンなど持たずに手ぶらで赤ん坊を抱いているのを,疑り深い目でじろじろ見ていた。

 私は,カチンときた。 (貴様,おむつ換えなんて,したことねえだろう?) 
  そりゃ,一刻も早く授乳したいという母親と鉢合わせになっていれば当然譲ってあげただろう。 だけど誰も使ってなかったわけだし,誰も待っちゃいないのだ から,誰が使ったっていいじゃないかと思った。 生オッパイの出ない男が使ったという,ただそれだけのことでいちいちイチャモンつけられるとは何事だ。  それとも,何か。 これは育児をする人のためのサービス設備ではなくて,女性のための設備なのか? 
 だいたい,こんなふうに多目的室の前でだらだら説教する方が,よっぽど利用者の邪魔になる。
 ムカついた私は,およそ上記のことをまくし立てて,妻と坊が待つ自分の席にもどった。


 私が冷たいビールを飲んでいたら,その乗務員が我々の座席までわざわざ謝りにやって来てくれた。
 さすが日本。
 帽子をとって丁寧に言い訳をしてくれたので,こちらも恐縮してしまったのだけど,聞いてみると,要は男性がおむつ換えすることは稀なので,ついつい最初から不正利用者だと疑ってしまったらしい。
 なんだそりゃと思いつつ,私も  『いえいえ,さっきはなんか強く言い過ぎちゃって,どうもすみません』 などと謝っていた。
 いろんな意味で,日本に来たんだなあ,としみじみ実感した。

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