2007年12月19日水曜日

理科教育

 日本が理数系で世界のトップから転落したからといって,小学校に理科専門の先生を置いても,
 そんなのはまったく無駄だと思う。 

 子供が科学に興味を持つかどうかは,先生の理科に関する専門知識の有無とはあまり関係ない。
 フィクションだけど 『兎の眼』 の小谷先生みたいに素人と大差ないような先生はいくらでもいたし,鉄三君ほど極端でなくとも,ああいう研究肌の子はいくらでも育った。
 ガッコの先生なんて,いつかは子供に追い越されるだけの存在だ。
 どれだけ子供の踏み台を用意できるかが教育の本質であって,なんでも知ってるハカセを子供にあつらえればいいというもんじゃないと思う。 


 子供に理科とか科学に興味を持たせたいのなら,まずは子供にビデオゲームをさせないことだろう。 
 あんなゲーム会社の社員のアタマで創り出したようなチンケな世界に没頭させないで,本当の世界に眼をむけさせるべきだ。 
 それにはどうしたらよいか?
 簡単なことだ。 あんなゲーム機,捨ててしまえばいい

 子供がいくら泣き騒ごうと,満16歳までゲーム禁止。

 ゲームの何が害かといえば,掌中の小さな世界で遊ぶことで,子供の好奇心や探究心がそれで満たされてしまっていることだ。
 そして,実に安易に 『達成感』 が得られてしまうのも,ビデオゲームのよくない点だ。 中毒になる。
 まるでポテチとかジャンクフードでもってアタマを満腹にしてしまうようなもんだ。 何もいいことが無い。
 あんなチンケなゲームなんかでアタマを砂糖漬けにしてしまったら,あまりに壮大すぎる本当の科学の世界になんて眼を向けるはずが無い。 そんなの面倒に決まってるし,ゲームの方が面白いし。


 アタマが砂糖漬けじゃあ,いくら科学に興味を向けさせようと仕向けたり,あれこれチヤホヤと教育しようとしたって無駄だ。 子供のアタマをハングリーにしてやらなくては,何かをもっと知りたいとは思わないだろうし,いくら詰め込もうとしたって受けつけやしない。
 それにはまず,家庭からゲーム機を排除し,放置。 それに限る。 暇なら本とか図鑑でも読め。 そして,オトナが期待に満ちた目でああだこうだ言わない。

 国家をあげてそれを実行出来ないというのなら,いくら理科の専門家をガッコに置いたところで全く無駄だと思う。
 馬鹿国家へ一直線あるのみだ。

2007年12月13日木曜日

ウズラの魔法

 司馬遼太郎の 『人間の集団について (中公文庫) に面白い話があった。
 サイゴンの市場で,華僑による魔法のような金の儲け方についてだった。
 たとえば,

「つがいのウズラを,高い値で買い占めている人がいる」

 という噂を流すのだそうだ。
 そして,実際に本人が市場にやってきて,げんに高く買う。

 するとサイゴンの人々は,皆こぞってひとつがいのウズラを鳥屋で仕入れてきては,その人物に売るようになる。
 そしてその人物は,二百つがいぐらいまで,どんどん高値にして買ってゆく。
 ようするに,ちょっとしたブームになる。


 その人物は,鳥屋とグルになっている。

 やがてウズラが払底し,ウズラの値段が何倍にも跳ね上がる。
 そして鳥屋で最高値のウズラが売れたところで,その人物は突然姿をくらますのだそうだ。
 まさにブームの終焉である。 鳥屋はぼろ儲けである。
 ウズラの値段の天井をつかんでしまった人は哀れなことになる。
 

 本来ウズラというただの鳥でしか無かったものが,うわさを操ることによって何も無いところに降って沸いたような付加価値がつき,人々がまるで操り人形のように出費し,金がどんどん膨れてゆく。
 しかし,一朝夢さめれば,ただのウズラにすぎないのだ
 
 
 ある日誰かが作り出したような即席の付加価値に喜んで大金を投じたりする薄っぺらい “ブランド志向” とか “流行モノ” “ブーム” というような現象が,サイゴンの市場でウズラのつがいを買い求める現象とよく似ている。 経済的無駄を人為的に作り出して儲けてるだけにタチが悪い。

 司馬遼太郎はこの本を書いた70年代にすでにバブル経済の破綻を予見していた人だが,サイゴンの市場で日本のバブル経済の本質みたいなものを垣間見ていたようだ。
 

2007年12月5日水曜日

理科離れ

 日本で子供の理科離れが言われるようになって久しいが,アメリカも世界の平均以下だったらしい。

 US teens lag behind in science and math
 http://news.yahoo.com/s/ap/20071204/ap_on_go_ot/math_science_scores_2

 
 アメリカでは理科に興味をもたせようと,いろんな子供向けの科学博物館やら,理科教育プログラムがある。 坊も,こないだ “Mad Science” とかいう放課後の理科教育クラスみたいなのに参加したが,有料だっただけあって結構面白かったらしい。

 おそらく日本も状況は似たような感じだろうと想像している。 理科教育に関してハードもソフトも整っているのに,どういうわけか子供の興味がついてこない。
 子供が面白かろう,としてオトナがいろんな教育的アトラクションを考えるし,子供も一時的に一応は興味をもって面白がったりするのだけど,長い眼でみると興味を失ってゆくような感じだ。
 
 私は子供の頃,NHKの 『ウルトラ・アイ』 だとか, 『レンズはさぐる』 だとかいう科学番組は好きだったし,『野性の王国』 とかいう動物モノも好きだった。 それらにくらべると当時学校で習ってた理科の授業の,なんとつまらなかったことか。 それでも今の子たちより理科は出来は良かったらしい。
 たぶん,今の方が 『子供が興味をもつように理科を面白く感じさせよう』 という姿勢は強いようだし,学校とかもいろんな機会を子供に与えようとしているんだと思う。 それでも出来が悪いということは,結局あんまり役に立っていないということか,あるいは教えるのが下手なのか。
 そもそも,『興味を持たせよう』 などという姿勢がなんだかあまりにも見え透いていて,子供はシラケてしまうのかもしれない。

 『理科に関心」最下位 数学的活用力も低下
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071204-00000082-mai-soci

 大人が, 『もっと子供の興味をひきつけるような授業をしよう』 なんて押しつけがましい事をアタマで考えるだけ無駄なんじゃなかろうか。
 

2007年11月15日木曜日

国際政治は感情でうごく

 国際政治は結局は感情で動く,と言われるけど,まったくそのとおりだと思った。
 個人としてみればオトナなはずの政治家だけど,一歩さがって眺めてみると国際関係というのは実にコドモっぽい感情が原因で動いたりするもんだ。

 チャベス大統領、スペイン国王の一喝「黙れ」に謝罪要求
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071115-00000104-yom-int

 ベネズエラ大統領を見下したような態度をしたスペイン国王もそうだし,それにいちいち腹を立てる大統領も大統領だ。
 まったく馬鹿馬鹿しい。
 国家指導者の個人的な感情でもって国の舵取りしてたら,すぐに戦争が始まってしまう。


 ベネズエラはこの原油高でずいぶん儲けている。
 採掘では自国の企業を保護し,外国資本に対して油田使用料を高くして,原油価格をつりあげて利益を得ている。 それでチャベス大統領も妙に強気なってるんだろうけど,なんだか成金じみていてあまり良い印象をうけない。

 アメリカが最近ブラジルとの関係をやたら強化しようとしているのは,ベネズエラを強く意識してるというのもあるんだろうか。
 


 しつこいようだが,私はチャベスといえば,フリオ・セサール・チャベスの方が全然好きだ。
 メルドリック・テーラーとの対戦は,チャベスは明らかにポイントで負けていたのだが,最終ラウンド残り2秒で逆転KOした,まさに伝説的な試合であった。
 ワン・ツー・スリーで,左ボディーフック。 左アッパーから右ストレート。 いかにもメキシカンらしいコンボは,息子のチャベスJrも受け継いでいる。


 そうえば,ベネズエラといえば,無冠の帝王カーロス・リベラの母国だな。